「俺だけの楽しみ」

「いねえ・・・」隆二は息が切れた。

「そういや、顔も変わってるかもしれねえし・・・」隆二の力がみるみる失われていった。

「わかんね・・・どうすっかなー・・・学校無断で休んだし・・・・」

トボトボ歩いていると精神科から一人の女性が出てきた。

「クリス!」

「?」

「あ、いや・・・あの・・・そのTシャツいいなぁと思って」

そう隆二が言うと、相手の顔がパッと明るくなった

「そうかー!このよさが分かるかー!いい男がー!」

抱きつかれた。

「ぬおっ!いや、天使の羽にわっかでしょ?いいセンスだと思って・・・」

「いいぞー!このままさば折りしたいくらいだぞう!」

「はなして・・・・ぐるぢい・・・・」

隆二が必死に訴えると女の子は手を離した。

「いやー、今日死のうかと思って」

「うぇ?死ぬところだったの?」

「だってクスリも効かないんだもん、鬱病って辛いよ・・・彼氏も出来ないし・・ハァ・・・・」

「それじゃあ俺がカレシだよカレシ!」隆二が無理やりそう言った。

 

 

 

「隆二?」

 

 

 

「え?」

 

 

「ん?なんでかな、いま隆二って言葉が出たぞ?お前の名前か?」

「あ・・ああ・・俺隆二っていうんだ」

「鬱の時は慰めてくれよな、これケータイとメール」

そう言うと、女性はスタスタと歩いていった。

「ちょ・・・さっぱりしすぎ・・・ってか・・・名前はーっ!」隆二が叫んだ。

 

 

「 加藤 ラビ!そんじゃ帰る!」

彼女は走って言った。

 

END