「俺だけの楽しみ」
「隆二・・・・」
「ん・・・」隆二は自分の机の椅子にこしかけて窓の外を見つめている。
「隆二・・・指輪・・・見つけたよ・・・・」
「見つけた所でお前は消えるんだ・・・・」
「消える・・でも最後に・・・」
「幼児体系だけど・・・いいかな・・・・」血まみれのクリスが、隆二と目を合わせないようにバスタオルを身にまとって立っている。
「あ・・・ああ・・・お前消えちゃうんだよな・・・」隆二は椅子から立ち上がった。
「ゴホッゴホッ・・・私・・・前の人生では飛び降り自殺したみたいで・・・ゴホッ・・・血まみれで・・・・ごめんね」
「誰が気にするかよ、お前の部屋、まだあるんだろ?」
「隆二のベッドがいいな・・・汚れちゃうけど・・・最後だから・・・・」
「ああ」隆二はクリスを優しく抱き上げると自分のベッドに寝かせた。
「フフッ」クリスが笑う
「何がおかしいんだよ?」
「だっていつもは顔射とかヘーキでしてたのに・・・急に何もお互い知らないようなカンジになっちゃって・・・」
「そうだな・・・まあ・・・気にするなよ・・・」
隆二はゆっくりとクリスの纏っているバスタオルを脱がす。
ベリッと血の張り付いた音がたまにして、クリスが苦しそうにする。
「痛いか?」
「大丈夫だよ・・・・」
「明かり消そうか?」
「いいヨ隆二・・・いいんだよ・・・見られたくないけど・・・・体中血まみれだし・・・」
「気にするな、俺がお前を全て覚えといてやる・・・・」
「幼児体系なんだぁ!本当に見られたくない!」クリスは顔を隠す。
「俺は全然きにしてねー・・・・でも・・・」
「でも?」
「最後と思ったら・・・たたねーんだ・・・チンコが・・・・」
「あはは」クリスが小さい声で笑う
「笑うなよ・・・ここは悲しい場面だぜ?ちくしょー・・・たたねえ・・・」
「立たねえ・・・・」そう最後に言うと隆二は一粒の涙を零した。
「隆二・・・泣かないで・・・私は隆二に幸せをもたらしに来た・・・天使(見習)なんだよ?ね?」
「立たねえ・・・・立たねえんだよ・・・・」隆二は最後にそう言った後、堰を切ったように涙を流し始めた。
「いいよ隆二・・・・」クリスは隆二の頬を撫でた。暖かい涙が手を伝わって落ちてくる。
「ね・・・朝まで添い寝して・・・・隆二・・・」
「うん・・・」横になると、隆二はクリスをしっかりと抱きしめた。
「隆二の匂いがする・・・・」
「ああ・・俺はクリスの匂いがするよ・・・・」
「えへへ・・・いつも嗅いでたもんね」
「ああ・・・でもいい匂いだ・・・忘れないぞ・・俺は・・・」
「俺は・・・忘れない・・・・・」
隆二はそのまま寝た。
夢を見た。
大天使らしい。
「隆二・・・あなたは未来を見ました。彼女はまだ自殺をしていません。あなたは未来を見て・・・それを体験しました」
「そうなのか?またクリスに会えるのか?」
「これからのあなた次第です・・いいですか・・あなたは未来を見て未来を体験しました・・・・」
「クリス!」隆二が跳ね起きる。
外では雀が鳴いている。
横にクリスはいない。
血の跡も無い。
隆二はあてもなく街を探す事にした。